2019-10-17
鎌倉展、開幕します。
鎌倉駅から徒歩7分、佐助へと至るトンネルの先にある古書・アトリエ くんぷう堂でいよいよ「弁造さんのエスキース展」が始まります。
初夏から始まった「弁造さんのエスキース展」ですが秋の気配のなかでの開催となりました。弁造さんの庭にたつメープルは、いつもように鮮やかな赤や黄色に染まっていることでしょう。
このメープルの存在が大きかったのか、弁造さんとの記憶の多くを占めるのが秋の時間です。『庭とエスキース』(みすず書房)の表紙にも晩秋の庭で撮影した写真を使いましたが、秋になると必ずといって立ち込める朝霧の幻想的な気配は今も深く印象に残っています。
僕が弁造さんに通い詰める日々は、弁造さんが老いを深めていく時間に伴走するものでもありました。それはどこか冬へと向かっていく秋の気配を連想させるものでもあったと思います。とはいえ、弁造さんと過ごした秋の先にあったものは、北の冬と聞いて誰もが想像するような厳しい寒さや暗い空といったものではありませんでした。
北の冬は澄み切った空を貫く眩い光と真っ白な雪を運んできてくれました。老いを深めていくなか弁造さんの”生きること”も北の冬にも似た澄み渡った風景にたどり着こうとしていたのではないかと、逝って7年間が経た今日に思います。
鎌倉の秋の光を浴びるエスキースから、弁造さんの”生きること”に思いを馳せていただけますように。
古書・アトリエ・くんぷう堂
〒248-0017
神奈川県鎌倉市佐助1-7-16
営業時間は11時~19時。月曜定休、金曜不定休。展示期間中は28日のみ休業。今月31日まで。
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